
【第22回】 フジスタッフ北九州支店 吉村恵美子
ある時の春休み、母と車での帰り道、道の両側に見事に咲きそろっている桜の木を見て、何故か幼い頃を思い出し、母と昔の事を語り合ったことがありました。それがきっかけで母に内緒で母への感謝の気持を詩にして「わたぼうしコンサート」に応募をしました。「わたぼうしコンサート」とは、県内のしょうがい者からの詩を集めてその中から8名だけ選んで、その詩に音楽をつけて歌ってもらえるのです。
それが信じられない事に私の詩が選ばれたのです。
当日私の作った詩を観客に聴いてもらい、その8名の中から一人だけ「大賞」をもらえるのですが、またまた信じられないことに「大賞」には私の詩が選ばれました。あの時は本当に信じられなく、母も一緒にびっくりしました。この詩は最初は私が一人で書いていたのですが、おかしな文や間違いがあるところを学校の先生に直してもらって、こういう素敵な詩が出来上がりました。
今は親から離れ一人で北九州市で暮らしているのですが、この会社のいい方たちに恵まれ、北九州女子バレー部の可愛い部員たちに囲まれて、めいっぱい幸せです。母の子に生まれてよかった、みなさんに出会えてよかった、この会社に入って、このページをお借りして、この詩をお見せする事が出来て私は幸せだと思いました。
みなさんの人生にも、辛い出来事よりも素晴らしい出来事が多くできますように・・・。

「桜の木は何を見た?」
桜の花びらがゆらゆら揺れている。
あの日優しく咲く桜の木は何を見た?
私の耳の事を知って自分のせいだと泣いていた母さん。
何にも知らない顔で母を見つめる幼い私。
私も母さんも悲しかったけど、
母さんは私が不幸にならないように
一生懸命育ててくれた。
いつか幸せになれるように。
桜の花びらがゆらゆら揺れている。
あの日寂しく咲く桜の木は何を見た?
ピッカピカのランドセルをしょって、
母さんと一緒にろう学校へ入学式を迎えた日。
それから母の車でバス停へ、
私のスクールバスをトンネルまで見送ってた母さん。
そして学校の帰り道スクールバスからバス停に降りて、
母の車はまだかと一人で待ち続けた私。
桜の花びらがゆらゆら揺れている。
その年元気いっぱい咲く桜の木は何を見た?
友達と楽しそうに手話でおしゃべりする私。
一人で学校に行き一人で家に帰る。
家には「お帰り。」といってくれる母さんの笑顔。
「ただいま。今日ね、あのね…!」
手話でみんなの輪が広がる喜び。
桜の木はいろいろな物語を見てきた。
桜の木は私の幸せを知っている。
素敵な桜だね!