今回も、Windowsが搭載する「システム外字」の話の続きです。 前回、Windowsに標準添付している「MS明朝」や「MSゴシック」などの日本語フォントには「NEC特殊文字」「IBM拡張文字」「NEC選定IBM拡張文字」の3種類の外字が収録されている旨、説明しました。 これらの外字をアプリケーションに入力するにはどうすればよいのでしょうか?
まず、Windowsのシステム外字の内、もっともよく使われている「NEC特殊文字」からいきましょう。①・Ⅲ・㈱・№・㍼といった記号の数々です。
これらの記号を入力するには、JIS漢字で規定されている記号(『・÷・♂・☆・◆・※など)と同じように、相当するキーを押して変換するか、読みを入力して変換します。例えば、丸付き数字の①であれば、キーボードの「1」キーを押して変換するか、または「いち」といった読みを入力して変換すれば、入力できます。ローマ数字のⅠ(大文字)やⅰ(小文字)も同様です。 キーボード上に相当するキーがない㈱・㍉・㍻・℡などの記号の場合は、それぞれ「かぶ」(「かぶしき」「かぶしきがいしゃ」でも可)・「みり」・「へいせい」・「でんわ」(「てる」でも可)といった読みを入力して変換操作を行えば、候補にあらわれるハズです(図1)。
つまり、NEC特殊文字については、ユーザはこれが外字であると意識することなく、ふつうに変換入力できてしまうワケです。
さて、今度は「IBM拡張文字」です。 「IBM拡張文字」にはⅠ・Ⅱ…Ⅹ、ⅰ・ⅱ…ⅹといったローマ数字(大文字と小文字の双方)、№・℡・㈱といった記号のほかに、纊・褜・鍈・銈・蓜……鵰・鵫・鶴・鸙・黑といったJIS漢字にない漢字が含まれています。ローマ数字や記号は先ほどの「NEC特殊文字」と同じですので、IBM拡張文字特有の漢字の入力方法についてのみ、調べてみましょう。
IBM拡張文字には、髙・彅・塚・﨑・弴・靖・羽など、人名でよく見かける漢字が多く含まれています。そこで「髙田(たかだ)」「川﨑(かわさき)」「大塚(おおつか)」「草彅(くさなぎ)」といったIBM拡張文字を含む名前がそれぞれの読みで一発変換できるかどうか、試してみました(図2)。
上図では「たかだ」という名前の読みを入力して変換してみましたが、「たかい」または「コウ」といった漢字1文字の読みを入力して変換した場合もやはり「髙」の字は変換候補にあらわれません。 MS-IMEでIBM拡張文字を入力するには、ちょっとした工夫が必要となります。 言語バーまたはMS-IMEのツールバーの「変換モード」ボタンをクリックして、変換モードを通常の「一般」から「人名/地名」に変更します(図3)。
その後、先ほどと同じように、「たかだ」や「くさなぎ」といった人名の読みを入力して変換操作を行うと、ちゃんと変換候補に「髙田」「草彅」といったIBM拡張文字を含む名前が表示されるようになります(図4)。
MS-IMEの変換モードを「人名/地名」に変更すると、人名・地名・会社名などの固有名詞を優先的に候補として表示するだけでなく、通常の仮名漢字変換時に利用する「標準辞書」には登録されていない珍しい姓名や地名などを集めた「人名地名辞書」も併用して変換を行うようになります。この「人名地名辞書」の中にIBM拡張文字を含んだ人名や地名も登録されているのです。
変換モードを「人名/地名」に変更すると、「髙田」「草彅」などを変換できるようになりますが、前述した通り、このモードでは固有名詞を優先的に候補として表示するため、住所録の作成などには向いている反面、通常の文章を入力するのにはまったく向いていません。 そこで、通常の文章を入力する際にもIBM拡張文字を含んだ固有名詞を変換するには、MS-IMEのプロパティを呼び出して、「人名地名辞書」を通常の「一般」変換モードでも利用するように設定を変更します。 具体的には、MS-IMEのプロパティ画面の「辞書/学習」タブを開くと、「システム辞書」欄に仮名漢字変換時に利用する辞書が一覧表示されていますので、その中の「人名地名辞書」のチェックボックスをクリックして、「標準辞書」と同じようにチェックを付けます(図5)。
出荷時には変換モードを「人名/地名」に変えた場合だけ、この「人名地名辞書」を利用する設定になっています(これがプロパティ画面の薄い灰色のチェックボックスの意味です)が、「人名地名辞書」のチェックボックスをONにすると、通常の「一般」変換モードでも「人名地名辞書」を利用する設定に変わります。 実際にIBM拡張文字を含む人名の読みを入力して変換してみましょう(図6)。
これで、NEC特殊文字だけでなく、IBM拡張文字を含む人名もふつうに仮名漢字変換できるようになりました。
ここまでNEC特殊文字やIBM拡張文字の入力方法を説明しておきながら、こんなことを言うのもちょっと矛盾しているように思いますが、果たしてこれらの文字を使うことには何の問題もないのでしょうか? Windows標準添付の「MS明朝」や「MSゴシック」などの日本語フォントに収録されているとは言っても、外字であることは間違いありません。 次回は、これらのシステム外字を使うことによって生じる問題点に注目してみたいと思います。