まず、あなたが行わなければならないことは、メンバーとコミュニケーションを図り、個々のメンバーがイメージしている「生み出したい結果は何か?」を十分に理解することです。「そんなことはやらなくても十分に生み出したい結果は共有できている」とおっしゃる方は結構です。しかし、皆さまに注意していただきたいのは、「お互いの理解」は、思ったより簡単なことではないということです。自分が「良かれ」と思ってしたことは、他人にとっては「迷惑だ」「余計なことをしやがって」「仕事が増える」などと解釈されたという経験は少なからず一度や二度は、皆さまも経験をしたことがあるでしょう。似たような事で、我々には、「わかったつもり」でいることも数多くあります。例えば、「マーケティング」という言葉や「市場」という言葉、普段我々がビジネス上で使っている言葉の意味を周りの人に聞いて見てください。あるいは、会社の同僚に上司の人柄について客観的な見方で話し合ってみてください。他人と自分の考えが、いかに異なるか比較して実感してみてください。些細な言葉一つとっても、大きな違いが見えてくるはずです。そうすることによって、考え方、理解の仕方、言葉の受けとめ方がまったく同じという人はいないということが見えてくるでしょう。
したがって、全員が同じ「生み出したい結果」をイメージしているかどうかは、個々の話しをじっくりと聴いて確認する必要があるのです。この確認作業をしないまま、前に進み始めると、最初は同じ方向を向いて進んでいるように見えても時間が経つにつれて、各人の距離が徐々に大きくなってしまいます。距離が大きくなったところで修復をすることは非常に手間がかかってしまいます。また、その修復はチーム全体を後戻りさせることにもなりかねません。いわゆる、「ボタンの掛け違い」になってしまうのです。こうしたお互いの理解不足が、結局はメンバー間の信頼関係を崩してしまう大きな要因となるのです。人はコミュニケーションが無ければ信頼を築くことができません。
お互いがお互いを理解することは、信頼関係を築く基礎です。そして、お互いを理解するための手段がコミュニケーションであり、そのコミュニケーションの基礎となるのが「聴く」ということです。我々は、自分を理解してもらおうとすることに対しては、一生懸命になり、努力を惜しみませんが、他人を理解することには、なるべく労力をかけないようにしがちです。人の話を聴くということは非常に忍耐が必要だからです。しかし、皆さま、この人には「自分を理解してもらえない」と思う人を信頼することができますか?「人の話を聴かないで、自分の立場ばかり主張している」人を信頼できますか?反対の立場にたって考えれば自明のことだと思われます。つまり、自分自身が信頼を得たいのであれば、自分から相手を十分に理解しなければならないのです。
チームリーダーとして、リーダーシップを発揮するには、この「聴く」というコミュニケーションがもっとも重要な要素であり、個々のメンバーが達成しようとしていることを理解することが、リーダーがメンバーに対して最初に行うべきことなのです。相互理解がなければ信頼関係は生まれないのです。
|