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IT Skill Up Lab 【プロフェッショナルへの道】
 
プロフェッショナルへの道
プロを判定するリトマス試験紙に関する3人の会話   濱田 秀彦氏


こんにちは。ヒューマンテックの濱田です。今回で、3人の会話シリーズは最終回になります。毎度おなじみの、家電メーカーQ社の不思議と気の合う3人組とご一緒に、プロのイメージを固めましょう。


冷えたドリンク登場人物
総太郎 (39歳、正社員、課長)
一 美 (28歳、正社員、事務職)
遣 介 (27歳、派遣社員)

ある日の夜、仕事を終えた3人は居酒屋で飲んでいた。

総太郎 「今日は好きなだけ飲み食いしていいぞ」
一 美 「ワリカンのときはご機嫌ですね。それに一番飲むし」
総太郎 「気のせいだよ。それよりなんだか深刻な人が1人いるなあ」
遣 介 「今日は、お二人にお話したいことがあるんです」
一 美 「なによ、あらたまっちゃって」
遣 介 「実はオレ、仕事を変えようか迷ってるんです」
総太郎 「なんだって?」
遣 介 「セキュリティの専門会社に行く話があるんですよ」
一 美 「派遣先が変わるの?」
遣 介 「違います。今回の話は契約社員です。契約は1年更新、社会保険なしで、給料は年俸制です。年俸は、かなり変動するらしいです。だから、いまより生活は不安定になります」
総太郎 「ふーん。ちょっと心配だね。ところで、セキュリティの会社に行ってなにをするの?」
遣 介 「一応、セキュリティのコンサルタントってことなんです。最初はサブからスタートです。認められればコンサルタントになれます」
総太郎 「君はセキュリティのことは詳しいからその点は大丈夫だろう」
遣 介 「いえ、かなり高いレベルを求められていて・・・厳しそうです」
総太郎 「さっき年俸制といっていたけどどんな仕組みになってるの?」
遣 介 「その会社は正社員はいなくて、全員契約社員なんです。会社というよりセキュリティのプロ集団みたいなものです」
総太郎 「年俸はどうやって決めるの?」
遣 介 「前年の実績をベースにして社長と面談して決めるそうです」
一 美 「プロ野球みたいね」
遣 介 「ひとつ、変わった条件があって。3年たって収支があわない場合は自動的に退社しなければならないんです」
一 美 「収支ってなに?」
遣 介 「3年間で上げた業績より会社が本人に払った年俸が高い場合、つまり赤字社員は退社するんです」
総太郎 「ひえーっ、厳しいなあ」
遣 介 「だから、みんな入社時から収支を意識して仕事をしているそうです」
総太郎 「でも、実績といっても役割分担を決めている人しだいという面もあるだろう」
遣 介 「それが、役割分担をする人はいないんです」
総太郎 「どうして?」
遣 介 「お客さんがコンサルタントを選ぶからです。主に経歴書で判断するそうです。経歴書は、コンサルタントが自分で作るのですが、収入に直結するので気合を入れて作るらしいです。それに、毎日のように書き直すみたいです」
総太郎 「聞けば聞くほど厳しいなぁ」
一 美 「でも、プロ集団という感じでかっこいいわ。なんか、差がついちゃうわね。わたし、このままでいいのかしら・・・」
総太郎 「同感・・・」
遣 介 「いや、オレも行くと決めたわけじゃないんですよ。生活は不安定になるし、経験も自信もないし・・・」 深刻なミーティング
   
  (しばらく、沈黙が続く)
   
一 美 「私たちってこうでしたっけ」
総太郎 「いや、違うと思う」
遣 介 「違いますよね」
一 美 「実力がどうこうというのは別にして、少なくとも前向きだったはず・・・」
総太郎 「そう、それに話の筋が違っていたような気がする」
遣 介 「話の筋ってどういうことですか?」
総太郎 「僕と一美さんが、会社にいたらプロになれない前提で考えたことだよ」
総太郎 「例えば、いまの会社にいても、自分の経歴書を作って日々更新しておくことは大切だと思うんだ。絶えず、市場価値を意識して仕事ができるしね。自分の足りないところも見えてくるような気がする」
一 美 「でも、わたし、経歴書なんて書いたことないんですけど」
総太郎 「形式なんかどうだっていいんだ。自分は何にどう役立つ人間なのかを過去の実績で証明すればいいだけさ」
一 美 「うーん。いったい私は何に役立つのか、それに実績ってなんだろう」
総太郎 「それを考えるのが大切なんだと思う。僕もそういうことに向き合わないで今日まできたけど・・・書いてみるよ」
一 美 「私も書いてみます。スカスカだったら、今後どう充実させるかを考えればいいんだし」
総太郎 「収支だって計算できるはずだ。自分がもらった給料と自分が会社に儲けさせた金額を比べればいいのさ。給料の方が多ければぶら下がり社員ってことだ」
一 美 「こわいですね」
総太郎 「でも、それを曖昧にしていると会社と対等な立場にはなれないよ。こわいけど計算してみるよ」
一 美 「お金に換算できない貢献はどうするんですか?」
総太郎 「自分なりに根拠を作って換算するしかないよ。換算できないなら人に説明もできないからその部分はゼロさ。」
遣 介 「いまの市場価値を証明できて、所属する組織との間の収支も的確に把握しているのはプロの証(あかし)ってことになりますかね」
総太郎 「そうだと思う。『あなたのいまの市場価値を具体的に説明してください』、『いま所属している組織はあなたを採用したことでいくら儲かったのですか』という質問はその人がプロかどうかを見極めるリトマス試験紙みたいなもんだな。答えられなきゃバツ。答えられても中身がスカスカならやっぱりバツさ」
一 美 「わたし、何も言えない」
総太郎 「僕だって言えないよ。だからいまの僕はプロじゃないんだ。でも、漠然とプロを目指すと言っていてもはじまらないんだ。まずは、経歴書と収支を作ってみるよ」
一 美 「課長もそうと聞いて気が楽になってきました。わたしもやってみます」
遣 介 「お二人の話を聞いていたら、ちょっと勇気がわいてきました。やっぱり、オレ新しい会社に行ってみます。チャンスなんだから、やれるだけやってみます」
総太郎 「そうだね。それが君らしいよ」
一 美 「たまには、報告にきなさいよ」
遣 介 「言われなくても来ますよ。それから・・・オレ・・・お二人に会えてよかったです」
総太郎 「やめてくれよ。そういうの嫌いなんだよ。ほら、一美さんが泣いちゃったじゃないか」
一 美 「涙でサイフが見えないわ。
課長、やっぱり今日もお願いします」
乾杯!
総太郎 「そういうオチかよ」
一 美 「とにかく、遣介君の未来に乾杯しましょうね」
総太郎
一 美
遣 介
「カンパーイ!」

■ 解説


あなたの市場価値はいまの環境で何をやったかで決まります。転職の予定がなくても、ぜひ、経歴書を書いてみてください。自分が持っているもの、足りないものが見えてくるはずです。
市場価値を高めるために転職するのもいいでしょう。でも、やる気だけで希望する環境が得られるわけではありません。いまの環境で価値を生み出してきたことを証明しなければならないのです。実績を整理するとともに、いまの環境でチャレンジできるのにやっていないことがないか、もう一度振り返ってみてください。
収支計算もしてみてください。会社と対等でいるためには避けて通れません。
遣介君が行く会社がやっているような雇用形態、評価制度を採用する組織も増えています。それは、ビジネスの世界がプロ人材を求め、プロを前提に仕組みを考えようとしているからです。プロは「なれたらいいな」というものではなく、「ならねばならないもの」になりつつあります。

シリーズの最後にもう一度質問します

 

 
 

あなたにとってプロとはなんですか?

 
     
  筆者のご紹介  
 
濱田 秀彦(はまだ ひでひこ)
濱田 秀彦氏(はまだ ひでひこ)   1982年 早稲田大学教育学部卒業
住宅メーカー入社、最年少支店長を歴任後、大手コンサルティング会社に転職。システムソリューション課長を経て
1999年 合資会社ヒューマンテック設立
2002年 プロバンク一般法人コンサルタントグループ アドバイザリースタッフ

現在、ヒューマンテック代表として、webサイト開発、業務システム開発、キャリアコンサルティング、セミナー講師等に従事している。
近著「みんなのパワーポイント企画・構成・話し方」(エクスナレッジ)

専門分野
・webサイト開発・運用 ・人事関連業務システム開発
・キャリアコンサルティング ・セールスアセスメント(営業の評価)
・プレゼンテーション研修

 
参考サイト・参考文献
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トム・ピーターズの経営破壊 「これからの時代を制するのは、クレージーなネットワーク型組織」。プロやキャリアを考える刺激になる本です。
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