解説
このセリフを山田さんが近くで聞いていたら、きっと気分を害してしまうでしょう。上司も「こりゃまいった」とお客様に会わす顔がなくなってしまいます。「まいる」は「行く・来る」の謙譲語で、自分の行為を表す表現です。たとえば、
「明日は何時に、こちらにまいればよろしいでしょうか」
と自分が言うのであればよいのですが、相手の行為を表現するときに「まいる」を使うと相手を低めてしまうことになるので、失礼にあたります。あなたは上司に失礼がないようにと、上司を立てて「まいる」と言ってしまったのかもしれませんが、客は組織内の誰よりも上位に位置します。そのことを認識した上で、客に対しては敬意を払った表現を使わなければなりません。
そこで「来る」を意味する相手を高める尊敬表現としては、「おいでになる」を使いましょう。
同様の尊敬表現として、「いらっしゃる」がありますが、「おいでになる」のほうが敬度がより高いので、あらたまった場や、相手の立場が高い方には、「おいでになる」を使ったほうがよいでしょう。
「おいで」を漢字で書くと「お出で」ですが、「出る」ばかりではなくて、「行く・来る・居る」という意味の尊敬表現になりますので、何度か使って覚えてしまいましょう。
そのほか、「おいでになる」の「〜になる」を省略することもできます。
○「上杉先生は、あちらで休んでおいでです」
答え
「山田様がおいでになっています」
【具体例】
○「石川様がおいでになっています」
○「明日の午後は、会社においでになりますか?」
○「よくおいでくださいました」
フレーズ例
- ○「山田様がお待ちです」「お待ちになっています」「お待ちでございます」
- ○「山田様がお越しです」「お越しになっています」「お越しでございます」
- ※「お待ち」「お越し」という表現もよいでしょう。
- ○「山田様がいらっしゃいました」
- ※「いらっしゃる」も「来る」の尊敬表現ですので、可能です。
NGフレーズ例
×「山田さんが来ましたよ」
- ※山田さんに対する敬意がなさ過ぎです。
- ×「山田様が来られています」
- ※何となく敬語にしようという努力は認めますが、敬語になっていません。気むずかしいお客さんは「なんて失礼な」と思ってしまうかも。「来る」という言葉は日常語ですので使えないのです。
- ×「山田様がまいられています」
- ※「まいる」という謙譲表現に、尊敬表現の「れる」を付けてもダメです。
- ×「山田さんという人がおいでになっています」
- ※いくら怪しくても、「〜という人」は失礼です。「山田様」または「山田様とおっしゃる方」とします。
もう1歩
「おいでになる」という表現をよく、「おいでになられる」と言ってしまう人がいます。「おいでになる」で1つの完成した敬語表現ですので、さらに尊敬の助動詞「れる・られる」を付ける必要はありません。
さらにもう1歩
「おいでになる」より、さらに丁寧で敬度の強い尊敬語として、「お見えになる」があります。地位の高い人のお客さんのときに使いましょう。
「おいでになる」「お見えになる」などの表現は知らない限り、なかなか自然に口から出てこない言葉です。それだけ、ポンと自然に言えたときは相手に与える評価は高いので、何度かフレーズを口ずさんで、身体で覚えてしまいましょう。
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