解説
これは敬語としては、ダメです。「約束をする」という“相手の行為”を話題にしてしまっているからです。尊敬語や丁寧語を使って、文法上でどんなに相手を敬っていても、相手の行為について踏み込むことは失礼なのです。「きちんと約束したんですか?」と相手を問い詰めているように聞こえるからです。
また、これらの言い方は、「ちゃんと面会の約束がないと会えませんよ」と言いたげに聞こえ、相手の落ち度を責めるような言い方になってしまいます。
ここは「約束そのものがあるかどうか」を問題として、
「お約束がございますか?」
と表現するのが正解です。ほんの少しの違いですが、与える印象には大きな違いがあります。
また、「お約束はいただいておりますでしょうか」「お約束させていただいておりますでしょうか」のように、身内の人間の行為に対してへりくだって述べるのもよいでしょう。相手の行為に対して問うているわけではないからです。
職場への訪問は、事前に相手の都合を確かめることが一般的。したがって、約束もしていない相手の落ち度を責めたくなる気持ちもわかりますが、冷たく対応したアポなし訪問客が、長年つきあいのある得意客で、機嫌を損ねてしまったなんて失敗もよく聞きますので、このような対応はきちんと覚えておいたほうがよいでしょう。
答え
「たいへん恐れ入りますが、お約束でございますか?」
フレーズ例
- ○「たいへん失礼ですが、お約束をいただいておりますでしょうか?」
- ○「恐れ入りますが、お約束でございましたでしょうか?」
NGフレーズ例
- ×「約束していますか?」「お約束をされていますか?」「お約束をなさっていますか?」「お約束をしていらっしゃいますか?」
※相手の行為を問題にしているのでダメです。
- ×「なんの用ですか」「どういうご用件でしょうか」
- ※いきなりこんなふうに聞くのは、まるで侵入者扱いですので、こういう言い方は失礼です。
- ×「石川課長とはお約束でしょうか」
- ※自社の人間に役職名は付けてはいけません。「石川とはお約束でしょうか」とします。
- ×「アポはお取りですか?」「アポイントはございますか?」
- ※「アポ」「アポイント」というビジネス用語は、同僚ならともかく、客に使うのは不適です。誰にでもわかりやすい日本語を使うよう心がけましょう。
もう1歩
約束がなく、訪問の目的がはっきりしない場合は、商品売り込みの営業など、あまり好ましくない場合もありますので、取り次ぐ際には注意しましょう。
受付で必ず確認しなければならないことは、「相手の会社名と名前」「名指し人の名前」「約束の有無」の3点です。以上をきちんと確認の上、社内へ取り次ぎましょう。
さらにもう1歩
初めて会社を訪問することは、とても不安なものです。あらかじめ約束していた客が訪れた場合、「○○様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました」と言うと、客の緊張もやわらぎ、相手に好印象を与えます。来社することが担当だけではなく周囲にも伝わっていることを印象づけ、「自分はその会社を訪問したことを歓迎されている」と感じるからです。
ただ逆に、約束の時間より遅れてきた場合に「お待ちしておりました」と言うと、客はかえって恐縮してしまいますので、気をつけましょう。
来客した人にとって、訪問先の受付の対応はとても気になるものです。1つ1つの言葉にどのような言葉を選ぶかによって、「自分がどれだけ大切なお客だと思われているか」が伝わってきます。
受付での言葉づかいや態度、細かな配慮は、「会社の顔」になります。
礼を失した応対はもちろん問題外ですが、「気持ちのいい会社だ」「客を大切にする会社だ」と来訪者が満足する接客ができるよう、ふだんから心がけましょう。
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