解説
敬語には、尊敬語、謙譲語があって、どっちがどっちだったかな・・・と悩むことがありますよね。そんなとき、すぐ見極められる言葉があります!それが今回取り上げる、「拝」の付いている言葉です。この「拝」の付く言葉はたくさんあります。
「拝見」「拝読」「拝受」「拝借」「拝聴」「拝謁(はいえつ)」・・・などなどです。
これら「拝」の付く言葉は、すべて自分の行為をへりくだっていうときに使います。それは、「拝」が「拝む(おがむ)」という言葉から来ており、「拝むような気持ちで〜させていただく」という語源になるからです。
したがって、これら「拝」という言葉は、相手の行為や、相手を主語にしたフレーズに使ってはいけません。問題の「資料を拝見されましたか?」は、「資料をありがたく読みましたか?」と言っているようなもので、上司はギョッ!とするでしょう。「拝見」などの「拝」が付く言葉は全て漢語(漢字から成る言葉)なので、話し言葉としてはかしこまった響きがあります。そのためか、敬語として不用意に使ってしまう人が少なくないようです。
フレーズ例
- ○「私の作った資料ですが、一度ご覧ください」
- ○「課長はご覧になりましたか?」
- ○「説明書をお読みいただきたいのですが」
NGフレーズ例
- ×「私の作った資料ですが、一度ご拝見ください」
- ※「ご(お)〜くださる」と尊敬表現を使っていたとしても、「拝見」などの言葉を使っては台無しです。
- ×「説明書をご拝読いただきたいのですが」
もう1歩
何ごとも控えめにすることが、日本人の場合はよいとされています。ただ最近は、あまりにもへりくだりすぎは良くないと言われています。
あまり「弊社」「愚考」という言葉を使いすぎると、相手もかえって閉口してしまうかもしれません。さじ加減をうまく調整しましょう。
さらにもう1歩
「拝」と同じように、それだけで謙譲の意味を含んでいるものには、次のような例がありますので、併せて覚えておきましょう。
- 愚:愚考(ぐこう)、愚行(ぐこう)、愚案(ぐあん)、
愚作(ぐさく)、愚見(ぐけん)など
- 拙:拙宅(せったく)、拙著(せっちょ)、拙稿(せっこう)、
拙作(せっさく)、拙論(せつろん)など
- 小:小社(しょうしゃ)、小生(しょうせい)、小誌(しょうし)、
小店(しょうてん)など
- 粗:粗茶(そちゃ)、粗品(そしな)、粗餐(そさん)など
- 弊:弊社(へいしゃ)、弊店(へいてん)、弊紙(へいし)など
- 薄:薄謝(はくしゃ)、薄志(はくし)、薄才(はくさい)など
- 寸:寸志(すんし)、寸書(すんしょ)、寸簡(すんかん)など
これらの言葉の多くは文章向けの言葉なので、会話で多用すると、かたい印象になってしまいます。美しい言葉というのは、言葉上の虚飾ではなく、聞いた人に心地よくひびくようにすることですので、使いすぎに注意しましょう。
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