解説
このあなたのセリフに、敬語の形式としては特に問題はありません。でも、この敬語の使い方は間違いです。「お〜になる」の形は尊敬表現なので、上司に使う敬語の形式としては間違っていません。では、何が問題なのでしょう。
ここは、「わかる」という語が問題です。能力にかかわる表現だからです。あなたは自分の作った資料を説明して、わかってもらえたかどうか心配しているのでしょう。でも部長にとっては、自分の能力が疑われたと受け取ったのです。
あなたがもし、子供に「これ、わかる?」と聞かれたらどうでしょう。そのときの気持ちを想像すれば、これが間違っていることに気づくはずです。能力の意味を含む、「わかる」「できる」のような動詞を目上の人に使うときは、注意が必要です。
そういうときは、自分の資料や説明が十分だったか、わかりにくいところはなかったかと尋ねるようにするとよいでしょう。これならば、相手の理解力が問題なのではなく、あなたの説明が問題となるからです。
フレーズ例
次のように、自分の説明が適切であったかを問うようにすれば、問題ありません。
- ○「以上、ご説明したとおりですが、説明不足な点はございませんか?」
- ○「資料で、何かご質問はございませんか?」
- ○「このような説明で、よろしいでしょうか」
NGフレーズ例
- ×「説明をさせていただきましたが、わかられますか?」
- ※「わかる」という言葉を使うこともいけませんが、「れる」「られる」は、敬語としては品位が落ちる表現ですので、避けましょう。
- ×「私の作った資料ですが、おわかりいただけたことと思います。」
- ※自分の資料でわかったはずだと決めつけるのはよくありません。
- △「ご理解いただけましたか?」
- ※間違ってはいませんが、「〜でしょうか」としたほうが、より丁寧です。
もう1歩
相手の能力について質問することが、どんなときも間違っているわけではありません。そのときの状況や、相手の性格などで受け入れられることもあります。ただいつも幸運なときばかりではありません。少なくとも不快に思う人がいるということを考慮しておきましょう。
さらにもう1歩
「ご理解いただけましたでしょうか」だけよりも、「私の説明がつたなくて申し訳ございません」などの言葉を付け加えたほうが、より相手の能力を問うていないことはっきりし、誤解は起こりにくくなります。
「私のこのような説明でよろしいでしょうか」「何か間違っているところはありませんでしょうか」など、相手の評価や意見を引き出すような聞き方をしてみましょう。
敬語の用法ばかりに気を取られてしまうと、相手に対する思いやりを怠ってしまいます。「おわかりになりましたか」という言葉の持つ不快な響きを鋭く感じ取り、別の言葉に言い換えることができるようになれば、ワンランク上のビジネスパーソンになれます!
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