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第9回 〜 “食”と“こころの健康”との関係〜

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“食べる”という行為は、あまりにも当たり前すぎて意識なんてしない、
という方も多いと思います。

でも、実は心の健康と深い関わりがあるのをご存知でしたか?
今回は、須永 美歌子先生に食べ物の栄養とメンタルとの関係につい
てお話を伺ってみました。

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     ・・・・・ 朝ごはんは必ず食べましょう! ・・・・・
     
 川西  先日、企業内のカウンセリングをしていて、ある女性から「私、鬱っぽいんです。やる気が起きないし目眩もするし・・・」というご相談を受けました。でも、ご本人のお話を詳しく聞いてみると、実は精神的な鬱になっているのではなく、栄養をきちんと摂取していないことが分かったんです。彼女は普段から帰宅時間が遅く、夕食は太りたくないからとコンビニエンスストアのおにぎり1個で済ませたり、朝はゆっくり寝ていたいからと朝食を抜いたりしていたらしいのです。確かに朝はどうしても眠くてごはんがなかなか食べられない人が多いようですが、必ず糖分は摂取した方がいいんですよね。彼女にはとにかく栄養を摂らせたいと思っているのですが、栄養不足が心理的に与える影響について教えていただけますか?
     
  須永   川西先生のおっしゃる通り、糖分は大事な栄養素の一つですので必ず摂取してください。「集中力がない、だるい、やる気が起きない」という症状は、血糖値が非常に低い時に起こります。脳がエネルギーとして利用できるのは糖質だけだからなんです。具体的には、ごはん・パン・パスタ・うどん・そば・イモ類などが挙げられますが、日本人の主食は白飯ですのでごはんを意識して食べて欲しいですね。お砂糖も同じ糖質なのですが、ごはんやパンなどと比べて分子がすごく小さいし消化吸収が早いのであまり適切ではありません。
     
 川西   つまりごはんをしっかり食べないと頭がよく回らないということですね。朝ごはんがどうしても入らない人は、フルーツを食べたり具がたっぷり入ったスープを食べたりするといいかもしれませんね。よく、太るからという理由で食事を抜いたり、ごはんを食べずにおかずだけ食べたり、お菓子だけで済ませようとする方がいらっしゃいますよね?
     
     ・・・・・ 疲れた時には甘いチョコではなくオニギリを ・・・・・
     
  須永  

そうですね。あと、疲れるとチョコレートとか甘いものを食べてしまいますが、その際、できればチョコレートやアメではなく、しっかりとした食事を摂るようにしてください。チョコレートは糖質や脂質がほとんどですが、おにぎり等にはビタミンやミネラルやたんぱく質が多く含まれているので、すごくたくさんの栄養素をおにぎり1個で摂取することができるんです。ゼリー系の食べ物は喉越しは良いので食欲がないときには良いのですが、やはり「噛む」という行為も大事なので、仕事をしたり何か作業をしたりしながら食べるのであればおにぎりをお勧めします。 熱量を持つ栄養素には、糖質・脂質・たんぱく質が挙げられますが、中でも糖質は体に負担をかけずにエネルギーになることができるんです。逆に脂質は、エネルギーになるためにたくさんの酸素や酵素を必要とします。

      
 川西   なるほど、そうなんですね。私は体力を消耗している時にお肉を食べると、消化が悪くて胃が痛くなったり体が疲れやすくなったりします。でも、最近ベジタリアンになったんですよ。別にそうしようと思ったわけでもなくて、今まで焼き肉が大好きでガンガン食べていたら腎臓結石になってしまって・・・。でも、野菜中心の食生活にすると体が軽くなることが分かって以来、ずっと菜食主義なんです。
     
     ・・・・・ 和定食はすぐれもの!ランチにオススメです ・・・・・
     
  須永  

和食は今注目されていますが、いわゆる和定食のような配膳(ごはん、お味噌汁、お肉、お魚、小鉢、おしんこ)を見てみると、5大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル)がまんべんなく含まれているんです。よく「外食先では何を食べればいいですか?」という質問を受けるのですが、私は和定食をお勧めします。やはりカレーライスや丼物系は噛む回数も少ないですし、どうしてもビタミン不足や野菜が不足しがちになります。

ちなみに、たんぱく質を消化吸収するには脂質よりももっとエネルギーを必要とするんです。お肉は、脂質+たんぱく質なので体に負担がかかるんです。大豆製品の方が脂質が少なくて体に負担がかかりにくいのです。

      
 川西   慢性疲労時に急性ストレスにかかると非常に具合が悪くなりますが、そうした場合どう対応したらよいのでしょうか?
      
  須永  

ストレスがたまっているときには、フリーラジカルといって活性酸素が発生します。それによって細胞が破壊されたり老化が進んだりして疲れやすくなり、最悪の場合ガンを招く恐れがあります。これを防止するものとして抗酸化(こうさんか)物質というのがあり、主にビタミンA、ビタミンC、ビタミンEに含まれています。ポリフェノールやカテキンにも含まれています。

     
     ・・・・・ アミノ酸ってどういうものなの? ・・・・・
     
 川西   それから、「アミノ食品」や「アミノ酸」という言葉をよく耳にしますが、そもそもアミノ酸ってどういうものなんですか?
      
  須永  

実はアミノ酸が集まってタンパク質を構成しています。アミノ酸の種類は全部で20種類あります。その組み合わせによって、お肉のタンパク質や卵や大豆のタンパク質ができるのです。

アミノ酸1000mgがタンパク質1gに値します。ちなみに梅干入りのおにぎりには、タンパク質が約3gも含まれており、アミノ酸を摂取したい場合には、飲料水よりも食事の中で十分摂取できるということになります。食欲がない時にはサプリメントや飲料水を活用するのは構いませんが、やはり食物から栄養を摂っていただきたいですね。

      
 
ストレスを解消する働きのある食品
【1】ストレスを取り除く うめ(クエン酸)、みつば(ビタミンA・C)、小松菜(カルシウム)、ごま(レシチン、カルシウム)、チーズ(カルシウム、ビタミンB1・B2)
【2】イライラを抑える じゃがいも(パントテン酸)、にら(ビタミンA、カルシウム)、もやし(ビタミンB群)、しょうが(ジンゲロン)
【3】脳の活性化 豚肉(ビタミンB1)、青魚(DHA)
【4】疲労の回復 酢(酢酸)、にんにく(アリシン)、大根(ビタミンC)、レモン(ビタミンC、クエン酸)、納豆(ビタミンB2)、かぼちゃ(ビタミンA)
【5】不眠症を治す 牛乳(カルシウム)、ねぎ(アリル化合物)
【6】貧血の防止 レバー(鉄)、牡蠣(鉄、ビタミンB1・B2)
【7】自律神経の調整 にんじん(ビタミンA)、しいたけ(メラニン色素)、わかめ(カルシウム)、ひじき(カルシム)
【8】内臓機能の回復 アサリ(ビタミンA・B)、キャベツ(ビタミンC、カルシウム)、プルーン(カルシウム、鉄)
  
 
まとめ
食事の量や質が良くない方は交感神経が緊張しやすく、イライラやストレスを感じやすくなるという研究結果があります。厚生労働省の調査でも「慢性疲労を感じている人は食事の仕方が悪い」という結果が出ているんですよ。つまり、いくら栄養バランスがとれた食事をしても、独りで食事をしたり、仕事をしながらやテレビを見ながらの「ながら食い」をする人は、「食べる」という意識をせずよく噛まずに食べるので、食べているけれど身にならない、というわけです。「食べる」という行為は、あまりにも当たり前すぎるかもしれませが、身近な行為だからこそ一番重要なのです。「食べること」と「こころの健康」のつながりはとっても深いんですよ。
      
プロフィール

須永 美歌子 さん

須永 美歌子(すなが みかこ)

日本体育大学体育学部体育学科を卒業後、日本体育大学大学院体育科学研究科修了。

現在は、昭和大学医学部第一生理学教室にて研修生として所属。運動時における血液粘度の変化に関する実験に携わっている。

      
  
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